シン・仮面ライダー アクション賛否

なんか『シン仮面ライダー』のアクションシーンについて、ネットでは賛否が分かれているようですね。まあ賛否が分かれているのはアクションだけではないみたいですけど。

https://www.shin-kamen-rider.jp/img/poster/poster6.jpg

引用:『シン・仮面ライダー』公式サイト (shin-kamen-rider.jp)

本記事ではアクションに絞って、賛否の原因について今更ながら解説していきます。

 

ネットの意見を簡潔にまとめる

  • アクションにCG使いすぎ
  • グロい
  • 求めてたのはこれじゃない

みたいな否定派の意見が多々見えました。対照的にアクションを肯定する人も多いです。個人的には迫力があってめっちゃ好きです。

多分ですが、否定派の人って『シン仮面ライダー』にスーパーヒーロー感を求めて見に来た人が大勢いると思うんです。

そのスーパーヒーロー感の具体例として挙げるなら

仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX

Kamen Rider Movie War Mega Max: Kamen Rider vs. Kamen Rider Fourze ...

 

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

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この2作品ですかね

この2作品とも、昭和ライダーが勢ぞろいして戦うんですが、まあヒーローらしい。

主役の若手ライダーのピンチにやってきて、大量の敵相手に颯爽と戦うわけです。

 

撮影方法に関しては、シンではCGを多用しているので、キックの威力やジャンプ力などには不自然さはありませんが、「まあCG だろうな」みたいな感じにはなります。ですがリアルさだとこっちが上です。

この2作品はワイヤーアクションをメインで撮影しています。なので物理法則を無視したライダージャンプやキックが登場します。でもカッコいいです。ヒーロー特有のスマートさがあります。

恐らく『シン仮面ライダー』に酷評だった人はこういうアクションを求めてたんじゃないかな。

 

しかし僕的には、『シン仮面ライダー』は元々こういう作風じゃないと思うんです。

 

シン仮面ライダーをどのように受け止めるべきなのか

これを語るためにまず、原作『仮面ライダー』の情報をおさらいする。

 

頭脳明晰、スポーツ万能の大学生『本郷猛』は、世界征服を企てる謎の秘密結社『ショッカー』によって拉致され、バッタの能力を持つ改造人間へと、肉体を作り替えられてしまう。彼の体は既に改造が完了していたが、脳改造によって洗脳を施される寸前に脱出。改造人間『蜘蛛男』が本郷を始末するために差し向けられるも、仮面ライダーに変身し蜘蛛男を撃破。

以降、仮面ライダーとしてショッカーとの闘いを繰り広げる。改造人間として、もう普通の人間には戻れないことに苦悩しながらも、人間の自由のために戦うのだ。

 

要するに仮面ライダーも、ショッカーが作り出した化け物です。他の改造人間と同じなのです。

1971年に初代仮面ライダーが放送された当時は、現在のような明るいヒーローものではなく『怪奇サスペンスもの』として描かれていました。

後半こそは2号ライダーと言う心強い仲間がいましたが、初期のころは改造人間の十字架を背負い、孤独な戦いをしていました。

 

ここからつながるアクションの話

シン仮面ライダー庵野監督が描きたかったのは、スーパーヒーローとしてのライダーではなく、原作重視のものだったはずです。

そこで観客の求めたものと監督の中の思いが食い違って、マイナスな意見が出てしまったのではないでしょうか。

原作重視のアクションを描くとなると、仮面ライダーの戦いは『正義と悪の戦い』ではなく、『化け物同士の殺し合い』になるのです。

つまり殺意のある戦い方がベストであり、そこにヒーロー要素を求めても満足出来ないのは当然だと思います。

撮影方法に関しても、改造人間を一撃で殺せる威力を演出するにはワイヤーアクションよりもCGのほうがいいと思う。

 

庵野監督は『殺陣』の撮影において、『段取り』のアクションを撮りませんでした。

ヒーロー的なアクションなら、あらかじめどのような動きをするのかなどを練習するので、段取りをしている感が否めないです。

しかし本気の殺し合いなら段取り感を出してはいけない。本当に殴り殺すような撮影を監督は望んだようです。

 

結論

確かに否定派の意見もごもっともだし、作品の感じ方、求めるものは人それぞれだ。

しかし『シン仮面ライダー』は原作での作風をよりリアルに仕上げたものなので、改造人間同士の殺し合いになる。

それを演出すれば、ヒーローとしての仮面ライダーが薄れるのも当然だ。

結果、こういう作品は観客が求めるものがそれぞれ何かによるのだ。