幼女戦記 漫画第一話 感想
漫画版 幼女戦記 第一話の感想を語ります。
引用:「幼女戦記 (1)」東條チカ [角川コミックス・エース] - KADOKAWA
本当は一巻丸ごと感想を書こうと思ったのですが、一話ごとに結構長くて、第一巻には3話まででした。たった3話でも結構ボリューミーに詰め込まれていたので、一話ごとの記事にしたいと思います。
簡単なあらすじと感想
転生
統一歴1923年6月 北方ノルデン管区
帝国軍北方方面軍は、越境侵犯を開始したレガドニア協商連合軍に対し砲撃を開始した。両国間で戦争が始まった。その上空で、砲撃観測要員として戦闘に参加する一人の魔導士。
『なぜ私は戦争に参加しているんだ』、『なぜ日本で会社員だった私が―幼女なんだ』
西暦2013年 東京
常に合理的かつ功利性を求め、社会の規範とレールに乗れば順風満帆な人生を送れる。それをわざわざ踏み外す輩を理解できないとするこの冷徹サラリーマン。無能な部下にリストラを言い渡したこの男は、部下の逆恨みによって線路に突き落とされ命を落とした。気が付くと彼の前には、自らを『創造主』と名乗る老人がいた。
『この世に神がいるなら世の不条理を放置するはずがない。よって神はいない』
合理主義の塊であるこの男は神はいないと結論付け、目の前の老人を『存在X』と仮称した。『存在X』は人間の信仰心の無さに怒り心頭である。そのうえこの男は、「社会的に優位な位置にいる自分は神にすがる理由がない」と言った。このように神の存在意義を否定されたため、この男に信仰心を目覚めさせるべく異世界送りにした。
「非科学的な世界で追いつめられ、嫌でも神にすがらせてやる」ということだ。
ターニャ・デグレチャフ
気が付くとこの男は赤子で、しかも女となっていた。さらに捨て子であり、修道院で他の孤児と一緒に育てられている。名を「ターニャ」という。さらにこの世界には魔法という非科学的な存在があり、悪魔の差し金か「ターニャ」には魔法の才能が与えられているらしい。
ターニャとして生まれかわったこの国は『帝国』と呼ばれ、拡張主義国家で軍国主義。国民皆兵制度まであるらしい。自分に強力な魔導適性があると分かった以上、この国で堅実に、エリートコースに乗っかるには『帝国軍航空魔導師』になるほかない。
そうして『ターニャ・デグレチャフ』は、わずか9歳にして士官候補生となり准尉となり、北方ノルデン管区での国境警備任務に従事していた。
ノルデンでの初陣
国境警備を任された当初は、『こんな幼女を偵察にこき使う帝国に災いあれ』と文句を垂らしていた。なにより国境哨戒任務は大した業績にならず出世に役立たないことに文句があった。しかし、帝国軍と協商連合軍は戦争になった。
『戦争になってくれたのなら大して業績にならない紹介任務よりマシ!』
『戦争が私に立身出世の好機をプレゼントしてくれる!勝てる戦争で!勝てる軍隊で!空から敵を叩くだけの簡単なお仕事で!』
この幼女、帝国軍が圧倒的な強さを誇るから、自分の仕事は簡単だからと言って、あろうことか戦争になったことを喜んでいる。しかも出世の踏み台にするために。
ターニャの脳内では既に、順調に出世していった後の人生設計が始まっていた。温かな食事に清潔なベッド。期待に胸が膨らむ。
しかし異世界ものにおいて、主人公が楽観的になることは敵襲来のフラグとも言えるのだ。ターニャの任務は、友軍砲兵隊の観測手。砲兵隊にとっては目だ。敵はもちろんこの目を潰したい。ターニャの魔導反応を感知した敵魔導師部隊が襲ってきた。フラグダメゼッタイ。
こんときの敵部隊隊長は『アンソン・スー中佐』。その後何度かターニャと死闘を繰りり返す宿敵となる男です。司令部からの命令は『増援到着まで敵を迎撃せよ』。勝手に撤退すれば敵前逃亡で銃殺刑。しかし戦力差は圧倒的。
『せいぜいあがいて見せましょう…!』狂った。
せいぜい爪痕残すために戦果を求め敵に突っ込むターニャ。
狂気的な戦闘を行う幼女の姿に、敵は混乱していた。
熾烈な接近戦の末、敵兵にしがみついたターニャは自爆した。
白銀『ターニャ・デグレチャフ』
北方での初陣からひと月。帝国軍参謀本部人事局人事課長というややこしい肩書を持った『レルゲン中佐』は、非常に強い不安を感じていた。
彼は士官学校時代のターニャを知っていた。ターニャは、命令に反抗した後輩士官候補生をなんの躊躇もなく処刑しようとした。レルゲン中佐はその現場を見ていた。
さらにひと月前の北方での奮戦。現場の指揮官たちはターニャを、生きて授与されることが稀な『銀翼突撃章』に推薦した。
『兵器として完成された子供など恐ろしい…。』レルゲンがぽつり。
やっと感想
あらすじだけでずいぶん長々と語ってしまいましたが、これでもだいぶ約して書きました。ここまで頑張ってあらすじを粗削りしたのにこのボリューム。しかも第一話だけです。『漫画版 幼女戦記』は冒頭でも伝えた通りかなり一巻単位でボリューミーです。
異世界転生モノにおいて大事なキーワードになるのは、転生された理由だと思います。
『RE:ゼロ』のように急に異世界に行って、召喚された理由がわからず真相に迫っていくタイプもあれば、『このすば』のように若いうちに死んだから第二の人生をどうぞ、
みたいなのもあります。
幼女戦記では人間の、特に主人公の神に対する信仰心の無さが所以で異世界に送られます。
『非科学的な世界で追い詰められれば、貴様にも信仰心が芽生えるのだろう』
しかしターニャはいかなる状況でも神にすがりたくはないのです。
第一話の時点ではまだこれだけ。しかしこの後、創造主『存在X』が仕掛けた重大な罠が現れます。
戦闘シーンを見ると「ターニャは戦争狂」のように見て取れますが、実際のところはできるだけ戦果を稼いで出世したいと思っていますこの幼女は。
今後部下を持つことになるターニャは、「命令に従わないものは切り捨てる冷酷軍人」や、「以外に部下思いなよい上司」、「生粋の愛国者」のように周囲から受け取られる描写が多々あります。しかしその心理は、『周りからの評価をよくして出世して、後方で安全なエリートコースを歩みたい」という合理主義の塊があるんですね。
おもしろ。
数えきれない数があるアニメ、漫画の中でも、実際に歴史上起きた世界大戦に似せた世界観はかなり異質だと思います。そもそも日本では、戦争に関する歴史などはタブー視されている傾向があります。
僕はミリオタなのでたくさんの戦争映画を観てきましたが、ここまでそれに近い作風を日本の媒体で観ていることに不思議さを感じていました。
最後に一言
漫画版のターニャかわいいなぁおい。